ジェム・インフォメーション第35・36合併号 内容紹介

5月23日に発行されたGem Information第35・36合併号の内容を簡単に紹介します。今回は最近特に需要の多い、“宝石の産地同定の重要性”にスポットを当て、話題の宝石、新しい産地、今年のツーソン ジェム&ミネラル ショーで注目をあびた宝石などを中心に56ページのボリュームで発行することができました。

☆“宝石の産地同定” Gübelin Gem Lab Ltd.,

宝石の産地同定の技術、限界、全体論的アプローチを、スイスのギュベリン宝石研究所が事例研究を上げながら解説します。
カシミール産ブルー・サファイア中のパーガス閃石
  顕微鏡写真

☆エチオピア オパール産地イータリッジYita Ridge

宝石の産出がほとんどないエチオピアから、1992年に
遊色効果の大変美しい高品質なオパールが発見された。メキシコやオーストラリア産のオパールと見違える程の
品質である。

タンザニア産グリーン・オパール

東洋を代表する宝石の一つであるオパールは、コモン・オパール、プレシャス・オパールとその種類も大変多い。この度タンザニア産のグリーン・オパールを入手することが出来た。
ブラジル産のオパールと比較し、その特徴を解説する

ツーソン近郊で産出するファイアー・アゲート

ツーソンの会場から車で30分ほど行くと小高い山脈が見える。虹色の強い、丸みを帯びたいくつもの山形のファイアーが見られるファイアー・アゲートが産出するDeer Creek Mineである。

コランダム・キャッツ・アイ

ベトナムの北部Luc Yen鉱山とTan Huong鉱山から産出されるコランダムの中に、大変稀にキャッツ・アイ効果を持つルビー、サファイアがある。宝石学的見解・考察により石の特徴を把握し、それを活かすように石取り・カットデザイン構成を考え、シャトヤンシー効果が最大限に現れるように研究されたものである。

ツーソン2007

10年間にわたりツーソンに自ら出展し、その後も毎年のようにツーソンを訪れ、新種石、新産地の情報を入手し続けてきた所長が、“ツーソン攻略法”ともいえる特徴ある展示品を紹介する。

ジェム・インフォメーション第35・36合併号 “宝石の産地同定の重要性” 2007.5.23.発行

1)宝石の産地同定
  1)産地同定の技術
   事例研究A:コロンビア産とブラジル産のエメラルド
  2)産地同定の限界
   事例研究B:スリランカ産およびマダガスカル イラカカ産のブルー・サファイア
  3)宝石産地同定のための全体論的アプローチ
(2)遊色効果の美しいエチオピア産オパール
(3)タンザニア産グリーン・オパール
(4)ツーソン近郊で産出するファイアー・アゲート
(5)コランダム・キャッツ・アイ
(6)ツーソン ジェム&ミネラル ショー2007
  1)会場
  2)特に目に付いた産出国
  3)心に残った宝石
  4)パライバ・トルマリンのツーソンでの現状
  5)大型の置物
  6)アメリカ産の宝石とデザイナー製品
  7)世界の珍しい彫刻品
(7)最近入手した宝石―その16
  76) Augelite  77) Edenite  78) Microlite 79) Roselite  80) Thaumasite

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? 4月 ダイアモンド???????????????????????? ?? ? 3月?4月
? 5月 エメラルド 、ジェダイト(翡翠) 4月?5月
? 6月? パール、ムーンストーン??????????? 5月?6月
? 7月? ルビー??????????????????????????????????????? 6月?7月
? 8月? ペリドット、サードニクス??????????? 7月?8月
? 9月? サファイア??????????????????????????????????8月?9月
10月 オパール、トルマリン????????????? 9月?10月
11月? トパーズ、シトリン??????????????? 10月?11月
12月? トルコ石、ラピスラズリ???????? 11月?12月

角丸四角形: (*パライバトルマリン、非加熱ルビー/サファイア、エメラルド、ジェダイトの含浸など特殊検査を要する検査料およびレポート部は対象外となります。ソーティングは対象外となります。)

宝石の世界 “パライバ・トルマリン”発行  2007年1月14日

Paraiba Tourmaline

    脳裏に焼きつくエレクトリック・ブルーの輝き”

1)トルマリンの種類         
  A)トルマリンの色による分類
  B)トルマリンの化学組成による分類 
2) パライバ・トルマリンの歴史      
3) ブラジル産パライバ・トルマリンの特徴と産状
  A)パライバ州バタリヤ(Batalha)鉱山
  B)リオ・グランデ・ドゥ・ノルチ州のムルング(Mulungu)鉱山と
     クイントス(Quintos)鉱山 
4)アフリカ産パライバ・トルマリンの特徴と産状
A)ナイジェリアのエドコ(Edoukou)鉱山とオフィキ(Ofiki)鉱山 
B)モザンビークのアルト・リゴンア(Alto Ligonha)
5)バタリヤ近郊に出現した新しいパライバ・トルマリンの鉱床
6)パライバ・トルマリンの今後
   
宝石の中でトルマリンほどたくさんの色があり、複雑な成分を持つ宝石は他にないだろう。文豪ゲーテは、宝石をこよなく愛したことで有名だが、1805年10月23日の日記に“ショール”についてすでに記載している。和名で電気石と呼ばれるトルマリンは、宝石としては大変珍しい焦電性や圧電性を有し、陽イオンを含んでいることもあって、健康医療の分野でも広く利用され、新しい分野の宝石として需要は高まる一方である。
その一種である“パライバ・トルマリン”が、アメリカのツーソン ジェム&ミネラルショーで画期的なデビューをした事は今でも語り草であるが、発見以来価格は下がることを知らず、確実に上がり続けている。それは何より、一度見たら“脳裏に焼きついて離れないエレクトリック・ブルーの輝き”による。ブラジル人のガリンペイロが、その石のカケラを見つけ、同じものを求めて5年以上荒野を探し続け、ようやくその石の鉱脈に辿り着いた。この男を付き動かしたロマンがなかったら、この石は未だに地中に眠り続けて、人の目に触れることはなかったであろう。
長い間、ブラジル北部のパライバ州でしか発見されず、そのネオンカラーの輝きは人々を魅了し続けてきた。宝石業界に新風を吹き込み、長い宝石の歴史にこれほどセンセーショナルな一ページを刻んだ宝石も、他にないのではないだろうか。
ダイアモンドより高価で希少性の高い宝石といわれるパライバ・トルマリンの魅力を探ってみたい。

最近入手した宝石 ― その15

71) Painite ペイナイト ミャンマー産 1.163ct 暗赤色透明石

和名:ペイナイト(ペイン石)化学組成:CaZrBAl9O18 六方晶系に属する。
産状:卓状結晶 色相:暗赤色、橙赤色、透明石 光沢:ガラス光沢
モース硬度:7.5-8 比重:4.01  屈折率:ω=1.816 ε=1.787
複屈折量:-0.029 多色性:二色性強 蛍光:長波・短波共に赤色
産地:ミヤンマー

この石は、1952年にミャンマーのモーゴクの宝石鉱物を含む漂砂鉱床の中から最初に発見された。1957年に新種の鉱物であることがわかり発見者であるイギリスの宝石商のA.C.D.Pain氏に因んで命名された。知られている原石としてはイギリスの大英博物館が所蔵する1.7Kgの原石があり、世界唯一のものでカット石は大変稀少である。色は濃いレッド・ガーネットに似ている。

72) Sellaite セラアイト ブラジル産 0.398ct 無色透明石

和名:セラアイト(セラ石) 化学組成:MgF2 正方晶系に属する。産状:柱状結晶、繊維状集合体 色相:無色、白色、透明石 光沢:ガラス光沢 モース硬度:5 ヘキ開:{010}、{110}完全 比重:3.15 屈折率:ω=1.378 ε=1.390 複屈折量:+0.012 蛍光:長波にて紫色短波にて変化なし 産地:ドイツ、イタリア、フランス、ブラジル・・・等

マグネシウムを含んだ弗化物である。中に入っているインクルージョンの影響で黄色味を帯びているように見える。氷河期の堆積物の中に流黄、蛍石、石英等と共存、カリ岩塩鉱床、石灰岩、火山噴出物などの中から産出する。又大理石の空洞中より5cmまでの微細結晶としても産出。イタリアの鉱物学者Q.Sellaに因んで命名された。

73) Thorianite トリアナイト アメリカ産 0.299ct 黒色不透明石

和名:トリアン石(方トリウム石) 化学組成:ThO2 等軸晶系に属する。産状:立方体結晶 色相:褐黄色、黄色、緑色、褐黒色?暗褐色、透明から不透明石光沢:ガラス、樹脂光沢 モース硬度:6.5-7 ヘキ開:{001}弱
比重:9.99 屈折率:α=2.39 β=2.42 γ=2.52 複屈折量:+0.13 
蛍光性:長波短波共に変化なし 産地:アメリカ、カナダ、南アフリカ、スリランカ、マダガスカル・・等

放射線元素であるトリウムが主な成分であり、放射能を発している。ペグマタイト中とカーボナタイトの中から産出する。閃ウラン鉱よりも稀少であり、閃ウラン鉱のウラニウムがトリウムによって置換されウラニウムよりトリウムの含有が多いものをトリアナイトと呼び、セリウムが多いものはセリアナイトとよぶ。中間的な化学組成を持つ物(Uranothorianite)も多い。

74) Willemite ウィレマイト アメリカ産 0.222ct 黄色透明石


和名:珪酸亜鉛鉱 化学組成:Zn2SiO4 三方晶系に属する。
産状:塊状、粒状、時に柱状結晶 色相:無色、緑色、黄色、白色、褐色、赤色、透明から半透明石 光沢:ガラス光沢から樹脂光沢 
モース硬度:5.5 ヘキ開:一方向に明瞭 比重:3.89-4.10
屈折率:ω=1.719 ε=1.691複屈折量:+0.028 多色性:二色性 
蛍光:長波・短波共に黄色 分光:421nmに強いライン、583,540,490nmに弱いライン産地:アメリカ、カナダ、メキシコ、ロシア、ナミビア・・・等

名の通り、亜鉛と珪酸からなる鉱物である。市場に出回っている透明石はアメリカのニュージャージー州のフランクリン鉱山からの物がほとんどで1?2ctのサイズが多い。日本でも採れるが、ごく小さいものしか採れない。紫外線をあてると強烈な黄緑色の蛍光を発する。Mnを含有する場合には黄色の蛍光を発する(成分分析の結果Mnの含有が確認された)。蛍光灯には合成珪酸亜鉛鉱などが蛍光物質として使われている。名称はオランダの王ウィレム一世に因んで命名された。

75) Williamsite ウィリアムサイト アメリカ産 0.228ct 緑色透明石


和名:ウィリアムサイト 化学組成:(Mg,Fe)3Si2O5(OH)4 単斜晶系に属する。産状:塊状、繊維状 色相:緑色透明石 光沢:樹脂光沢 
モース硬度:4 ヘキ開:時に明瞭 比重:2.4-2.8 屈折率:1.560-1.571 蛍光:長波にて微緑色 短波にて変化なし 産地:アメリカ・・・等

蛇紋岩(Serpentine)の一種である。蛇紋岩にはウィリアムサイト、ボーウェナイト、リコナイト等の多くの宝石になる変種がある。ヒスイに似ている緑色を示し、中には内包物として黒色のクロマイト・インクルージョンが混在している。             

 

上段左から
Willemite, Williamsite

下段左から
Painite, Sellaite, Thorianite

 

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ジェム・インフォメーション 第33・34合併号発行 2006年8月28日

目次

(1)アメリカコロラド州スイートホーム鉱山産透明ロードクロサイト
    1)ロードクロサイト(Rhodochrosite)とは…
    2)コロラド州スイートホーム(Sweet Home)鉱山の歴史と品質
    3)スイートホーム鉱山の場所と地形
    4)新しい採掘方法とカット技術の進歩
    5)類似石と類質同像
    6)ロードクロサイトの市場と取り扱い方法

(2)A.G.LがGIAのカットグレーディングシステム導入
    1)GIAカットグレーディングシステムに於ける品質の3要素
    2)数値化によって表示される検査項目
    3)目視評価項目
    4)ペインティングとディギングアウト
    5) A.G.Lと GIAのカットグレーディングシステムの比較
    6)ハート&キューピットとクロマティックフレア

(3)コロンビア・チボール鉱山産 ユークレース(Euclase)

(4)コロンビア産の珍しいコランダム

(5)ノルウェー産ペリドット(Peridot)

(6)ブラジル産出の宝石ブラジリアナイト(Brazillianite)について

(7)トルコ石(Turquoise)の加工方法について

(8)パライバ色をしたギラライト入りクォーツ

宝石の世界 “ロードクロサイト”

ロ ー ド ク ロ サ イ ト   Rhodochrosite  “新しい宝石文化の誕生” アメリカ コロラド州スイートホーム鉱山産 透明ロードクロサイト   1) ロードクロサイト(Rhodochrosite)とは・・・    2) コロラド州スイートホーム(Sweet Home)鉱山の歴史と品質  3) スイートホーム鉱山の場所と地形    4) 新しい採掘方法とカット技術の進歩    5) 類似石と類質同像  6) ロードクロサイトの市場と取り扱い方法  7) 種々の分析データ 

 濃淡のピンク色に白い縞の入ったベーコンの様な外観から、ベーコンストリップとも呼ばれる縞目を持つロードクロサイトは、一般的には不透明な塊状の宝石で、彫刻品や置物などにインカローズ(inca-rose)と呼ばれて長い間使用されてきた。そのうちごく一部の良質なものは丸球等に加工され、ネックレスなどの装身具として欧米では利用されている。 和名で菱マンガン鉱と呼ばれるように、菱面体形状を示す美しい結晶形として産出する透明石が、年に数える程ではあるが発見されてきた。ロードクロサイトはモース硬度が3.5?4とほとんどの宝石より低いが(例 / オパール:モース硬度5.5?6.5)、ジュエリーとしてずっと使用されている真珠(モース硬度:2.5?4.5)よりも硬度が高い点に着目して、新しい技術で採掘され、新しい技術で磨かれ、ここに初めてエッジがシャープな新しい宝石として誕生した。            アメリカコロラド州の4000m以上の高地で、鉱山に入れるのは年に数ヶ月だけという厳しい地形にもかかわらずスイートホーム(Sweet Home)鉱山がアメリカ人によって採掘され、今日本に輸入され始めている。 スイートホーム鉱山の場所と地形 スイートホーム鉱山はコロラド州アルマの北西約6kmの険しいモスキート山脈に位置し、デンバーから南西に128kmの所にある。北はブロス山の中腹にある銀鉱山、南は金の鉱山という2つの主要な採掘地区の中間に存在する。スイートホーム周辺の地形は険しく、高さが4,267mもある山頂が幾つか鉱山を囲んでいて、冬には6m近い豪雪に見舞われ、鉱山に行けるのは1年に2?3カ月しかないという。採掘は通常、雪がなくなる5月下旬頃から開始され、実際に雪がなくなるのは、7月半ばから8月半ばだけだという。 新しい採掘方法とカット技術の進歩 4000m以上の高地で、先カンブリア紀の花崗岩や花崗岩質片麻岩の大変硬い母岩の中に、モース硬度3.5?4と非常に柔らかく、さらに3方向に完全なクリベージを持つロードクロサイトの結晶が入っているために、どのようにそれらを見つけ出し、破壊することなく美しく取り出すかという難題をクリアするためにスイートホーム・ロード社の地質学者達による広範囲な地質地図の作成と調査が行われた。その結果、主要なロードクロサイトの鉱脈が“通常北東にのびる主要な鉱石鉱脈が、断層系と交差する場所に生じる”という理論が成立した。数年後、これらの場所がロードクロサイトのポケットであることが判明した。今までのロードクロサイトの採掘方法や、他の宝石の一般的な採掘方法は、鉱脈近くにドリルで穴を開け、そこにダイナマイトを入れて爆破し、破壊した母岩の中から結晶系を探しだす為、爆破の時点で結晶が割れたり崩れたりしてしまい、完全なものや大きなものは採掘できなかった。 又カット方法も今までの方法では原石のクリーニングに時間をかけず、ただ周囲に付いたほこりや小さな粉末を水で洗い流すだけで、研磨版の材料、研磨の速度、研磨材、ポリシング材…などの研究もさほどなされなかった。 しかし、このグループは硬度の低いロードクロサイトの結晶を取り出すために、チェーンソーを用いて周囲の母岩ごと掘り出すことに成功した。取り出された結晶は5時間ないし10時間のクリーニングを徹底的に行った。粉塵がわずかについているだけで、研磨の際にキズをつけたり、しいては割れにもつながってしまうからである。さらに研磨板の回転速度、摩擦熱を上げないための研究、トップに石をつける接着剤の研究がなされ、徹底した研磨室のクリーン化がはかられた。採掘、研磨の工程で様々な改善がなされたことで、ここのSweet Home鉱山産のロードクロサイトにカット面のエッジがカミソリの刃のようなシャープな宝石が完成したのである。 1992年以降、0.5ct以上の大粒のカット石は、年間100個程度しか生産されていないという数字を見ても、世界中のディーラーの取り合いは必至で、日本に入ってくる数に限りがあることは容易に想像がつく。

最近入手した宝石 ― その14

66) Star?Ekanite スター?エカナイト(四条スター)

スリランカ産 58.156ct 暗緑色半透明石
和名:エカナイト 化学組成:ThCa2Si8O20 正方晶系に属する。
産状:長柱状結晶、塊状、礫状 色相:緑色、暗褐色、透明から半透明石光沢:ガラス光沢 モース硬度:5-6 ヘキ開:なし 比重:3.28-3.32  屈折率:1.57(スポット法) メタミクト化により変化あり 多色性:検査不可 蛍光:長波・短波共に変化なし 産地:スリランカ、カナダ

エカナイトは最も稀少な宝石の一つである。放射能物質であるウランとトリウムを含み、そのためにメタミクト化(鉱物内で放射性原子により結晶格子が崩壊して非晶質になること)する鉱物である。1953年スリランカのラトナプラ鉱区の砂礫層から新鉱物として発見される。名称は最初の発見者であるスリランカのF.L.D.Ekanayakeに因み命名された。スリランカのラトナプラ鉱区から産出したスター?エカナイトは通常弱い四条のスターを示し、このアステリズムはごく細かい針状インクルージョンの粗密な繰り返しによるものである。

67) Demantoid?Garnet?cat’s-eye デマントイド・ガーネット・キャッツ・アイ

ロシア産 1.591ct 緑色半透明石和名:翠柘榴石 
化学組成:Ca3Fe2(SiO4)3 等軸晶系に属する。産状:十二面体結晶、破片状、粒状 色相:緑色透明から半透明石 光沢:ガラス光沢 モース硬度:6.5-7 ヘキ開:なし 比重:3.82-3.85  屈折率:1.88 多色性:なし 蛍光:長波・短波共に変化なし 産地:ロシア、イタリア・・・等

アンドラダイト・ガーネットの中のクロムを含有している緑色の石のことである。内包物としてホーステール?インクルージョンが入っているのが特徴である。分散度が高いことからグリーン・ダイアモンドとも呼ばれた時もあった。名称はフィンランドの鉱物学者Nils von Nordensheld氏により1878年にデマントイド(ダイアモンドに似ているというオランダ語)として命名された。この石のシャトヤンシーの効果はホーステール?インクルージョンが一定方向に規則正しく配列したことから生じた物である。このホーステール?インクルージョンはクリソタイルであると報告されている。

68) Scapolite?cat’s-eyeスカポライト?キャッツ?アイ

Star?Scapolite スター?スカポライト
写真は左より ミャンマー産 5.533ct 淡青色半透明石(キャッツ?アイ)
ミャンマー産 4.161ct ピンク色半透明石(キャッツ?アイ)
スリランカ産 1.332ct 暗褐色半透明石(六条スター)

和名:スカポライト(柱石)化学組成:Meionite(灰柱石)3CaAl2Si2O8?CaCO3,Marialite(曹柱石)3NaAlSi3O8?NaCl 正方晶系に属する。産状:短柱状、塊状、粒状 色相:無色、黄色、ピンク色、紫色, 透明から半透明石
光沢:ガラス光沢 モース硬度:5-6.5 ヘキ開:完全 比重:2.57-2.74 屈折率:1.54-1.56(スポット法) 蛍光性:淡青色半透明石(長波にて黄緑色、短波にてピンク)淡ピンク色透明石(長波にてオレンジ色、短波にて淡いピンク色)暗褐色(長波にて変化なし、短波にて赤色) 産地:タンザニア、ミヤンマー、ブラジル、スリランカ・・・等

カルシウムを主成分とするMeionite(メイオナイト)とナトリウムを主成分とするMarialite(マリアライト)の固溶体である。このカルシウムとナトリウムの含有率により色の変化が現れる。淡青色半透明石(キャッツ?アイ)と淡紫ピンク色半透明石(キャッツ?アイ)は様々なチューブインクルージョンが原因でシャトヤンシーを示している。暗褐色半透明石(六条スター)は白いクラウド状に見えるごく小さくて細かい針状のインクルージョンから六条スターを生じる。
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69) Star?Chrysoberyl スター・クリソベリル(四条スター)


スリランカ産 8.026ct 濃黄緑色半透明石和名:金緑石 化学組成:BeAl2O4 斜方晶系に属する。産状:柱状結晶、双晶、三連晶、礫状 色相:黄色、帯緑黄色、帯黄緑色、緑色、褐色透明から半透明石 光沢:ガラス光沢 モース硬度:8.5 ヘキ開:一方向に明瞭ないし不明瞭 比重:3.68-3.73  屈折率:1.74(スポット法) 多色性:検査不可 蛍光:長波・短波共に変化なし 産地:ブラジル、スリランカ・・・等

クリソベリルにはアレキサンドライトとキャッツアイの2種類の宝石がある。クリソベリル?キャッツアイは針状インクルージョンの平行状配列によるものである。今回の四条スターを示す物はごく稀少である。オーバルカボションカットの長い方向の強いシャトヤンシーとこれより弱いシャトヤンシーが交差して斜めに示す。

70) Topaz?cat’s-eye トパーズ?キャッツ?アイ


スリランカ産 9.305ct 無色透明石?和名:黄玉 化学組成:Al2SiO4(F,OH)2 斜方晶系にする。産状:柱状結晶、塊状、卓上、礫状 色相:無色、青色、黄色、褐色、淡緑青色透明石 光沢:ガラス光沢 モース硬度:8 ヘキ開:底面に平行な一方向に完全 比重:3.53-3.56 屈折率:1.61(スポット法) 蛍光:長波・短波共になし 産地:ブラジル、ビルマ、ナミビア、スリランカ、パキスタン・・・等

トパーズは水酸基〔Al2SiO4(OH)2〕とフッ素基(Al2SiO4F2)のOH-タイプとF-タイプに分けられる。ホワイトトパーズはF-タイプである。無色のホワイトト?パーズのほとんどは照射によりブルーに変えられている。今回のシャトヤンシーを示すトパーズは極めて稀である。細くて長い針状インクルージョンの影響である。

ジェム・インフォメーション 第32号発行  2006年1月30日

目次

1)ブラジル訪問記
  (1)パライバ・トルマリンの現状
     a)パライバ州 バタリア視察
     b)リオ・グランデ・ドゥ・ノルチ州視察
     c)宝石のメッカ ゴベナドール・バラダレス訪問
     d)まとめ
  (2)ブラジル宝石鉱山の現状
     a)最高級アレキサンドライトの産地ヘマチタ(Hematita)
     b)ピティラス(Piteiras)のエメラルド鉱山
     c)新しく採掘を始めたホシャ(Rocha)の鉱山
     d)まぼろしのアクアマリン サンタ・マリア・ジ・イタビラ
      (Santa Maria de Itabira)
2)スリランカ訪問記
     a)Gemmological Institute of Colombo(コロンボ宝石学協会)設立
     b)スリランカの新しい宝石産地 オッカンペティア“Okkampitia”
     c)近代的な工場
     d)スリランカ最大の宝石フェアー“Facets 2005”
3)グリーンド・アメシストとグリーン・クォーツ
4)2006年の宝石の色“黄色”
5)最近入手した宝石―その14
    66) Star?Ekanite 67) Demantoid?Garnet?cat’s-eye
    68) Scapolite?cat’s-eye、 Star?Scapolite  
    69) Star?Chrysoberyl 70) Topaz?cat’s-eye

宝石の世界 デマントイド・ガーネット発行

デマントイド・ガーネット Demantoid Garnet

100年の眠りから覚めた伝説の宝石

1853年頃、ロシアの中央ウラル山脈にあるElizavetinskoye村で、輝きの強い濃いグリーンの宝石が発見された。それはダイアモンドのような美しい輝きがあったため、デマントイド(Demantoid)つまり“ダイアモンド(オランダ語でDemant)に似た”という名前が付けられた。その後、そこから南へおよそ160kmのSissertsk地域からも採取されている。
デマントイド・ガーネットは、1875年頃から1917年のロシア革命によりロマノフ王朝が崩壊するまで、ロシアの宮廷ジュエリーとしてもてはやされ、皇族や貴族の身につける宝飾品を彩った。
特に、ロシア皇帝お抱えの宝石商Karl Fabergeによって製作されたものは有名である。ロシア革命後は採掘が途絶え、ごく最近までアンティークジュエリーの中に時々見かけるだけの“幻の宝石”になってしまった。
しかし、2002年にSissertsk地域Kladovkaの再開発がはじまり、その昔ロシア皇帝や貴族達しか持つことを許されなかったという希少価値から、いまウラル産のデマントイド・ガーネットが、大変注目を集めている。また、ウラル産デマントイド・ガーネットに見られるインクルージョンは、馬の尻尾のように見える事から“ホーステール・インクルージョン”と呼ばれ、馬を愛するヨーロッパの貴族階級の間で“幸運の象徴”として古くから大変珍重されている。
以下・・・?ガーネットの種類
     ?デマントイド・ガーネットとは
     ?特有のホーステール・インクルージョン
     ?ロシア産デマントイド・ガーネット
     ?その他のデマントイド・ガーネットの産地
     ?さらなる100年後にロマンを託して