日独宝石研究所 2021年 年賀状のご説明

謹んで新年のご祝詞を申し上げます。
輝かしい年頭にあたり 皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
昨年中は格別のご用命を賜り厚く御礼申し上げます。
皆様のますますのご発展を祈念しますとともに、
本年もなお一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。

令和3年 元旦 日独宝石研究所 所員一同

年賀状に用いました写真のご説明をさせていただきます。

2019年に発見され、昨年2020年に市場に出始めた新種石ローレントーマサイトです。見る方向で青と黄色になる多色性が強いのが特徴の宝石です。昨年の前半はまだ鑑別でも拝見することがありましたが、新型コロナの影響が長引くと拝見することもなくなってしまいました。コロナ後はどうなるのでしょうか。

2020年初頭にアフガニスタンで発見されたピンクのダイアスポアです。ダイアスポアはかすかにカラーチェンジするトルコの別名ズルタナイトが有名ですが、あまり知られていない宝石です。このピンクの変種によって知名度が高まることを期待しています。

アメリカ、モンタナ州から産出するサファイアです。それほど強くない色同士のゾーニングが強いのが特徴で、バイカラー、パーティカラーとなるものも多く、カットによっては魅力的な色の混ざり方を楽しむことが出来ます。また、写真のような六角形の成長構造に沿ったインクルージョンも見られるものも多いです。昨年はなぜか、いろいろなところで推されていて、たくさん拝見しました。

マダガスカル産のデュモルチェライトの単結晶です。ブラジルなどで産出するものでは、デュモルチェライトは水晶中のインクルージョンとして見られ、きれいな青く細い柱状の結晶が特徴的です。しかし、こちらはデュモルチェライトの単結晶で、それほど大きなものはないようですが、きれいな紫青色が魅力です。

昨年は外出が制限される中、ウェビナーなどを活用したオンラインの講習もいくつかさせていただきました。こちらはそこでご紹介したカナダ産デマントイド・ガーネットのホーステール・インクルージョンです。ホーステールは決してロシア産だけのものではないですが、やはり、ロシア産のものがきれいに見えます。

こちらはロシア産のデマントイド・ガーネットのホーステール・インクルージョンです。

次号のGem Informationでご紹介するサファイアが紫外線で黄色になるフォトクロミズム(テネブレッセンス)です。数日~数年で元に戻ります。特に一時的でもピンクサファイアがパパラチア色っぽくなってしまうことには注意が必要です。新型コロナの影響で殺菌灯が色々なものに使われています。このような宝石も稀にありますので、宝石・ジュエリーについては中性洗剤で洗浄することをおすすめ致します。(手垢、指紋もとれますし、きれいになりますし、ウィルスも不活性化します)

こちらは昨年拝見させていただいたアフガニスタンのピンク・スピネルです。金属光沢があるルチルのインクルージョンが見られました。アフガニスタンのスピネルはタジキスタンのものより、色が鮮やかです。黒太子のルビーは、タジキスタンのスピネルと言われていましたが、どちらというとこちらのアフガニスタンのものに近いようにも思います。

昨年モンタナ・サファイアと合わせて人気があったのがティールブルーと表現される灰色がかったサファイアや、灰色のグレー・スピネルです。グレー・スピネルは太陽光や波長が広いライトで見ると青、紫などの色が感じられることが多いですが、波長の偏ったLEDのライトで見るとまさにグレーです。これから照明がLEDになっていくと、グレーが引き立つかもしれません。

昨年は2月のツーソンの展示会まではアメリカもまだ新型コロナの影響もなく、通常通り行われました。マスクをしたり、手の消毒していると冗談になったほどでした。ツーソンで目を引いたのはブラジルのTatu鉱山の鮮やかなアクアマリンです。すこしインクルージョンが多いものもありましたが、鮮やかな青は、文句なくサンタマリア・カラーでした。

ツーソンの展示会では本当色々なものを見ることが出来ます。こちらは全く同じプロポーションのキュービックジルコニアで、研磨の仕上げの工程で荒削りで止めたものが左、中目まで研磨したものが真ん中、細目まで研磨したものが右です。石の明るさまで変わります。面白かったです。

イギリスの東部ダラム郡のDiana Maria鉱山から産出する蛍光の強いフルオライトです。フルオライトはその名前から蛍光が強いのが特徴ですが、この鉱山のものは紫外線でなくても可視光線に含まれる紫、青の光でこのように青い蛍光が強く現れます。それによってまるで結晶自体が青いかのように、見れます。蛍光は結晶の表面近くに多い希土類元素によるもので、ファセットカットすることはその蛍光を維持するのは難しいようですが、カット技術の工夫が期待されます。

今年も社員一同宝石の魅力を皆様を共有できるよう、頑張って参ります。それではどうぞよろしくお願いいたします。

日独宝石研究所 社員一同 2021年 元旦

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