日独宝石研究所 2022年 年賀状のご説明

輝かしい年頭にあたり 皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
昨年中は格別のご用命を賜り厚く御礼申し上げます。
皆様のますますのご発展を祈念しますとともに、
本年もなお一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。

令和4年 元旦 日独宝石研究所 所員一同

年賀状に用いました写真のご説明をさせていただきます。

昨年の宝石学会で紹介させていただいたピンクのジェダイトです。産地はミャンマーで、このピンク色はマンガンによるものとわかりました。マンガンによるピンク、鉄↔チタンによる青が一緒になるとラベンダーになります。ジェダイトは他にも鉄の黄色、赤、クロムによる緑といろいろな色の生まれます。

ブルーグリーンのダイアモンドに見られる自然照射の跡で、カットの際の熱で黄色からこのような褐色になっています。人工的に作ったものでなければ天然の証拠と考えられる特徴です。

昨年はいくつか素晴らしいブルー・ダイアモンドに出会いました。こちらは、極短波の紫外線で赤く蛍光、燐光したものです。赤い蛍光はホープ・ダイアモンドにも見られることが知られていますが、それはホウ素のよるもので、このブルー・ダイアモンドにはホープ・ダイアモンドの倍以上のホウ素が検出されました。

コバルト・スピネルはその鮮やかな青さから相変わらず人気で、特にベトナム産に美しいものが多いです。こちらはベトナム産のコバルト・スピネルに見られるチャネル状のインクルージョンです。

このようにコバルト・スピネルが人気ですと、処理されたものも出てきます。こちらはコバルトを外部から拡散させたものですが、今までのもののように明らかにおかしい色や、外部に色溜まりが見られるものではなく、かなり自然な色で分かりづらいものになっています。

ベトナムからはコバルト・スピネルだけではなく、ルビーもミャンマーのように美しいものが産出しています。また、このベトナムのルビーのように糖蜜状組織が見られるものもあります。

こちらはブルー・サファイアの蛍光です。以前はオレンジの蛍光が見えたら、カシミール産と言われたこともありましたが、他にもスリランカやミャンマーなどのものでもオレンジの蛍光なら見られます。こちらはカシミールから少し離れたパキスタンから産出したブルー・サファイアですが、オレンジの蛍光が美しいものでした。

蛍光については、パライバ・トルマリンの母岩とくっついたものでも見られました。ブラジルのパライバ・トルマリンは蛍光はないはずですが、こちらのマトリックスでは黄色の蛍光が確認され、その部分はトパーズでした。トパーズとトルマリンが一緒に産出することが面白かったです。

宝石の検査方法もいろいろと進歩しております。ラマン分光はまさに鉱物や宝石の検査には革新的でした。こちらはトパーズの中に見られたマクロライトで、顕微鏡がついたラマン分光で確認されたものでした。

エチオピアのオパールは、植物を巻き込んで成長しているため、化石化した植物や時にその色素などが残っています。こちらはオレンジがかった赤いオパールですが、内部には有機質色素と思われる赤い斑点が確認されました。

エチオピアの赤いオパールの外観ですが、薄くなっている周囲には赤い斑点が見えています。

昨年も多くの方に協力いただき、研究ができました。こちらはお客様からご提供いただいたカンボジアのジルコンで、左が加熱する前、右が加熱後です。淡いものですが、きれいなブルー・ジルコンに生まれ変わりました。

本年のより一層、研究を深め、サービス向上に努めてまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

日独宝石研究所 所員一同 令和4年元旦

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