宝石鑑別は、貴重な宝石を傷つけることなく、宝石種の同定をすることが基本です。希産な宝石への需要を満たすため、多くの産地が探索され、世界各地からの原産地情報も多種多様です。さらに宝石への加工技術も進み、天然石であるかどうかの鑑別から一歩進んで、加工の有無、又その技術の種類など、看破しなくてはならない項目は多様化しています。

そのため、通常の鑑別機材だけでは、結論を導き出せないことも多く、高度な分析装置が不可欠となってきています。日独宝石研究所では、鑑別室とは別に分析室を設け、各種の分析装置を導入しています。また、当所から車で10分と近い場所にある山梨県工業技術センターには、多くの高度精密分析装置が設置されていて、当研究所も使用できる環境にあります。

現在、鑑別に必須となっている分析装置の主なものには、紫外-可視分光装置、近赤外分析装置、フーリエ変換赤外分析装置、エネルギー分散型蛍光X線成分分析装置、レーザートモグラフなどがあり、新種石や処理石、難石の看破に役立っています。特に日独宝石研究所には、所長が長年にわたり収集してきた宝石コレクションを元に確実なデータが蓄積されていて、産地別の比較、時代を追う事で加工の有無、その種類の特定などに応用されています。

当研究所の分析室より

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FT-IR分光光度計

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紫外-可視分光光度計

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その他、各種分析装置