日独宝石研究所 2023年 年賀状のご説明

輝かしい年頭にあたり 皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
昨年も格別のご用命を賜り厚く御礼申し上げます。
皆様のますますのご発展を祈念しますとともに、
本年もなお一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。

令和5年 元旦 日独宝石研究所 所員一同

年賀状に用いました写真のご説明をさせていただきます。

ブラジルで近年発見されたピンクのユークレースです。なかなか宝石質のものが見られませんでしたが、昨年に鳴りいくつもファセットカットされた美しいピンク色のものを拝見できました。このユークレースは特に、針状のインクルージョンが特徴的でした。

マダガスカルのデマントイド・ガーネットです。デマントイド自体ファイアが強いことが特徴ですが、マダガスカルのものには、双晶面にイリデッセンスが生じるものがあり、それが石自体のファイアを相まってさらに虹色の光が現れます。双晶がファイアを二重に強くしていることから、ツイン・ファイアTwinning Fireを呼んでいます。

昨年はトパーズもピンク~赤のものをよく拝見できました。パキスタンのものには上の写真のようなブラインドのような構造をした双晶が見られることがあります。特定の角度で光を当てるとこのように見えます。

昨年、市場に出てきた宝石としてタンザニア産のコバルト・スピネルがあります。それらには特徴的な虹色の干渉色が見える双晶が見られます。石自体もコバルト・ブルーでとても美しいものですが、顕微鏡でみるインクルージョンにもさらに美しさがあります。ベトナムのコバルト・スピネルは相変わらず人気ですが、昨年はタンザニアのものも素晴らしいものを拝見できました。

これはカシミール・サファイアのヘイジィ状インクルージョンです。旧来のカシミール・サファイアは、コーンフラワーブルーと呼ばれる美しい色で、このヘイジィ状インクルージョンも特徴です。最近はカシミール近郊からのサファイアも見られるようになりました。

こちらは弊社で加熱させていただいたオレンジのベニトアイトです。加熱前は無色のものでしたが、加熱した8pcのうち、1pcだけがこのようにしっかりとオレンジ色を引き出すことができました。

こちらはタンザニア産のピンク・スピネルです。タンザニア・マヘンゲを主な産地とするスピネルには、美しいピンク~赤のものがあり、それらには他の産地にない特徴的なインクルージョンが見られるものもあります。近年のスピネルブームの中、タンザニア産のレッド・スピネルもミャンマーのものに負けない美しさがあり、人気も高くなっています。

近年パライバ・トルマリンには含浸されるものが多くなってしまいました。フラクチャーが多いものが主流になっため、それを埋めて外観を良くしたり、カットの際に割れを防ぐ目的です。上記の写真は特にひどい含浸が行われていたパライバ・トルマリンの紫外線蛍光です。左はそのままのもの、右は1週間溶剤にいれて含浸を除去したものです。変化はこのようにはっきりとしたものでした。

こちらはロシア産のデマントイド・ガーネットに見られたホーステール・インクルージョンです。ホーステール・インクルージョンは基本的に1点から広がる放射状ものが多いですが、稀にこのように内側は無造作にホーステールが散らばり、その周りからは規則正しく放射状に広がるものも見られます。

こちらは近年見られるようになった、ピンク~レッドのアパタイトです。ブラジルから産出したもので濃く少し暗いくらいの赤から、淡いピンクのものまであります。インクルージョンとしては、上記の写真のような平行に走ったディスロケーションが特徴で、一部ヘイローを伴っているものも見られます。

本年のより一層、研究を深め、サービス向上に努めてまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

日独宝石研究所 所員一同 令和5年元旦

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