日独宝石研究所 2020年 年賀状のご説明

謹んで新年のご祝詞を申し上げます。
輝かしい年頭にあたり 皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
昨年中は格別のご用命を賜り厚く御礼申し上げます。
皆様のますますのご発展を祈念しますとともに、
本年もなお一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。

令和2年 元旦 日独宝石研究所 所員一同

年賀状に用いました写真のご説明をさせていただきます。

ファセットカットもされる素晴らしいクオリティのロードクロサイトで有名なアメリカ コロラド州スイートホーム鉱山は2004年閉山してしまいましたが、2018年の末に再開されました。まだファセットカットされる透明度の高いものは産出していないとのことでしたが、素晴らしい結晶が報告されています。

昨年もCVD合成は盛んに開発され、ピンクのものなど天然では見られないようなものから市場に広がってきた印象です。CVDについては層状の構造に生じる歪みから上の写真のようにファセット内のファイアにムラが生じることが見られます。丁寧に作ったものではかなり見えづらいのですが、宝飾用のコスト重視で早く成長させたものには生じるようです。大きなCVDをご覧になる機会にはぜひ見てみてください。

昨年も2年に1度のIGC交際宝石学会議に参加させていただきました。たくさんの興味深い発表がありましたが、 ディスロケーション(転移)による空隙(穴) についての発表がありました。昨年の年賀状にも紹介したタンザニアのスペサルティン・ガーネットに見られたホーステール・インクルージョンそっくりのものも、そのようです。なんの鉱物の反応も得られず、果たして何かと悩んでおりましたが、ゴースト(ないもの)を追いかけていたようでした。

昨年もいろいろな展示会を訪れましたが、やはりアメリカ・ツーソンの展示会はどこよりもたくさん発見がありました。こちらはブラジル バヒア州Brumado鉱山から産出したオレンジの”ユークレース”だということです。ユークレースは青~青緑のものが知られておりますが、オレンジピンクです。自然は思いもつかないものを生み出します。

こちらもツーソンの展示会で見られたマイケル・ダイバー氏のアクアマリンです。宝石なのに結晶なのに有機体のような命を感じるカットです。

こちらの顕微鏡写真はコバルト・ガーナイトのインクルージョンです。コバルト・スピネルが人気ですが、なんとガーナイトです。ガーナイトは緑の暗いものが多く、宝石としてはすこし残念な石でしたが、スピネル族らしくコバルトのものがナイジェリアから見つかり、昨年少しだけ市場に出てきたようです。

技術交流、情報交換のため 昨年スリランカに参りましたが、ついでにスリランカのいろいろな宝石産業を拝見することができました。こちらは伝説のブローパイプ・ヒーター(伝統的加熱職人)で、炭火に空気を送り込み温度を上げてサファイアを加熱していています。加熱は4~8時間に及び、一時たりとも温度が下がらないように空気を送り込み続けます。

同じくスリランカのカッターです。弦のようなものを押したり、引いたりして力を伝え、研磨版を回していきます。高価な石をカットする場合少しでもウエイトを残すため、このような手作業での繊細なカットが行われるそうです。

いろいろな宝石がありますが、ちょっと残念な宝石も見られました。こちらはカラーチェンジを示すカイヤナイトなのですが、カラーチェンジが見られるのは横方向だけです。真正面からは変色しません。これは異方性という結晶の方位で色が異なる性質をカイヤナイトが持つのですが、カイヤナイトは薄く長い結晶の形で産出します。宝石用にカットする広い面からはカラーチェンジが見られないもので、横方向からだけ現れる控えめなカラーチェンジです。

昨年は不思議なことに3回もテレビの取材を受けました。弊社の標本室がEテレさんに使っていただけました。NHK Eテレさんの「アクティブ10」という理科の番組で物質の性質を紹介される中で宝石もご紹介いただきました。動画が公開されております、こちらから御覧ください。でも出ているのはほんのちょっとです。

TBSさんの「櫻井・有吉THE夜会」では、みやぞんさん、丸山桂里奈さんと水晶探しにご一緒させていただきました。みやぞんさん、カメラ回ってないところでもとても面白かったですし、丸山さんの体力は半端なかったです。

BS-TBSさんの「蔵の中にはなにがある」では富士山スペシャルとして、富士講の御師さんのお蔵に眠るお宝を拝見にお邪魔させていただきました。びっくりするくらいきれいなカルカンサイト(胆礬)を拝見できました。どこから来たものなのか、近いところとしては栃木県の足尾銅山のものか、もしくは御師さんが関係があった兵庫県の明延鉱山、生野銀山のものとか、ロマンは広がりました。

スリランカでは講演もさせていただきました。中国からの参加者も多く、宝石の産出地であるスリランカに世界中から人が集まってくることを改めて感じました。しかし、スリランカでパパラチアの話をするのは、釈迦に説法で恥ずかしかったです。

今年も社員一同宝石の魅力を皆様を共有できるよう、頑張って参ります。それではどうぞよろしくお願いいたします。

日独宝石研究所 社員一同 2020年 元旦

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