月別: 2006年1月

最近入手した宝石 ― その14

66) Star?Ekanite スター?エカナイト(四条スター)

スリランカ産 58.156ct 暗緑色半透明石
和名:エカナイト 化学組成:ThCa2Si8O20 正方晶系に属する。
産状:長柱状結晶、塊状、礫状 色相:緑色、暗褐色、透明から半透明石光沢:ガラス光沢 モース硬度:5-6 ヘキ開:なし 比重:3.28-3.32  屈折率:1.57(スポット法) メタミクト化により変化あり 多色性:検査不可 蛍光:長波・短波共に変化なし 産地:スリランカ、カナダ

エカナイトは最も稀少な宝石の一つである。放射能物質であるウランとトリウムを含み、そのためにメタミクト化(鉱物内で放射性原子により結晶格子が崩壊して非晶質になること)する鉱物である。1953年スリランカのラトナプラ鉱区の砂礫層から新鉱物として発見される。名称は最初の発見者であるスリランカのF.L.D.Ekanayakeに因み命名された。スリランカのラトナプラ鉱区から産出したスター?エカナイトは通常弱い四条のスターを示し、このアステリズムはごく細かい針状インクルージョンの粗密な繰り返しによるものである。

67) Demantoid?Garnet?cat’s-eye デマントイド・ガーネット・キャッツ・アイ

ロシア産 1.591ct 緑色半透明石和名:翠柘榴石 
化学組成:Ca3Fe2(SiO4)3 等軸晶系に属する。産状:十二面体結晶、破片状、粒状 色相:緑色透明から半透明石 光沢:ガラス光沢 モース硬度:6.5-7 ヘキ開:なし 比重:3.82-3.85  屈折率:1.88 多色性:なし 蛍光:長波・短波共に変化なし 産地:ロシア、イタリア・・・等

アンドラダイト・ガーネットの中のクロムを含有している緑色の石のことである。内包物としてホーステール?インクルージョンが入っているのが特徴である。分散度が高いことからグリーン・ダイアモンドとも呼ばれた時もあった。名称はフィンランドの鉱物学者Nils von Nordensheld氏により1878年にデマントイド(ダイアモンドに似ているというオランダ語)として命名された。この石のシャトヤンシーの効果はホーステール?インクルージョンが一定方向に規則正しく配列したことから生じた物である。このホーステール?インクルージョンはクリソタイルであると報告されている。

68) Scapolite?cat’s-eyeスカポライト?キャッツ?アイ

Star?Scapolite スター?スカポライト
写真は左より ミャンマー産 5.533ct 淡青色半透明石(キャッツ?アイ)
ミャンマー産 4.161ct ピンク色半透明石(キャッツ?アイ)
スリランカ産 1.332ct 暗褐色半透明石(六条スター)

和名:スカポライト(柱石)化学組成:Meionite(灰柱石)3CaAl2Si2O8?CaCO3,Marialite(曹柱石)3NaAlSi3O8?NaCl 正方晶系に属する。産状:短柱状、塊状、粒状 色相:無色、黄色、ピンク色、紫色, 透明から半透明石
光沢:ガラス光沢 モース硬度:5-6.5 ヘキ開:完全 比重:2.57-2.74 屈折率:1.54-1.56(スポット法) 蛍光性:淡青色半透明石(長波にて黄緑色、短波にてピンク)淡ピンク色透明石(長波にてオレンジ色、短波にて淡いピンク色)暗褐色(長波にて変化なし、短波にて赤色) 産地:タンザニア、ミヤンマー、ブラジル、スリランカ・・・等

カルシウムを主成分とするMeionite(メイオナイト)とナトリウムを主成分とするMarialite(マリアライト)の固溶体である。このカルシウムとナトリウムの含有率により色の変化が現れる。淡青色半透明石(キャッツ?アイ)と淡紫ピンク色半透明石(キャッツ?アイ)は様々なチューブインクルージョンが原因でシャトヤンシーを示している。暗褐色半透明石(六条スター)は白いクラウド状に見えるごく小さくて細かい針状のインクルージョンから六条スターを生じる。
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69) Star?Chrysoberyl スター・クリソベリル(四条スター)


スリランカ産 8.026ct 濃黄緑色半透明石和名:金緑石 化学組成:BeAl2O4 斜方晶系に属する。産状:柱状結晶、双晶、三連晶、礫状 色相:黄色、帯緑黄色、帯黄緑色、緑色、褐色透明から半透明石 光沢:ガラス光沢 モース硬度:8.5 ヘキ開:一方向に明瞭ないし不明瞭 比重:3.68-3.73  屈折率:1.74(スポット法) 多色性:検査不可 蛍光:長波・短波共に変化なし 産地:ブラジル、スリランカ・・・等

クリソベリルにはアレキサンドライトとキャッツアイの2種類の宝石がある。クリソベリル?キャッツアイは針状インクルージョンの平行状配列によるものである。今回の四条スターを示す物はごく稀少である。オーバルカボションカットの長い方向の強いシャトヤンシーとこれより弱いシャトヤンシーが交差して斜めに示す。

70) Topaz?cat’s-eye トパーズ?キャッツ?アイ


スリランカ産 9.305ct 無色透明石?和名:黄玉 化学組成:Al2SiO4(F,OH)2 斜方晶系にする。産状:柱状結晶、塊状、卓上、礫状 色相:無色、青色、黄色、褐色、淡緑青色透明石 光沢:ガラス光沢 モース硬度:8 ヘキ開:底面に平行な一方向に完全 比重:3.53-3.56 屈折率:1.61(スポット法) 蛍光:長波・短波共になし 産地:ブラジル、ビルマ、ナミビア、スリランカ、パキスタン・・・等

トパーズは水酸基〔Al2SiO4(OH)2〕とフッ素基(Al2SiO4F2)のOH-タイプとF-タイプに分けられる。ホワイトトパーズはF-タイプである。無色のホワイトト?パーズのほとんどは照射によりブルーに変えられている。今回のシャトヤンシーを示すトパーズは極めて稀である。細くて長い針状インクルージョンの影響である。

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Categories: 6.レアーストーン紹介

ジェム・インフォメーション 第32号発行  2006年1月30日

目次

1)ブラジル訪問記
  (1)パライバ・トルマリンの現状
     a)パライバ州 バタリア視察
     b)リオ・グランデ・ドゥ・ノルチ州視察
     c)宝石のメッカ ゴベナドール・バラダレス訪問
     d)まとめ
  (2)ブラジル宝石鉱山の現状
     a)最高級アレキサンドライトの産地ヘマチタ(Hematita)
     b)ピティラス(Piteiras)のエメラルド鉱山
     c)新しく採掘を始めたホシャ(Rocha)の鉱山
     d)まぼろしのアクアマリン サンタ・マリア・ジ・イタビラ
      (Santa Maria de Itabira)
2)スリランカ訪問記
     a)Gemmological Institute of Colombo(コロンボ宝石学協会)設立
     b)スリランカの新しい宝石産地 オッカンペティア“Okkampitia”
     c)近代的な工場
     d)スリランカ最大の宝石フェアー“Facets 2005”
3)グリーンド・アメシストとグリーン・クォーツ
4)2006年の宝石の色“黄色”
5)最近入手した宝石―その14
    66) Star?Ekanite 67) Demantoid?Garnet?cat’s-eye
    68) Scapolite?cat’s-eye、 Star?Scapolite  
    69) Star?Chrysoberyl 70) Topaz?cat’s-eye