今世紀初の新種石“Pezzottaite"特集号発行 2003年10月6日

昨年11月にマダガスカルで発見されたピンク・ベリルが、今年2月のアメリカ ツーソン市で開催されたジェム&ミネラルショーに出展され大変人気を博した。美しいピンク色でラズベリーの色あいに良く似ているため、“ラズベリル”という別名がつき市場に紹介された。この宝石は、今までのピンク・ベリル すなわちモルガナイトとは大変違っていた。一番の違いはセシウム(Cs)が多量に含まれていて、今までの宝石にはなかった新しい鮮やかなピンク色をしている事だ。残念な事にインクルージョンが多く、ルーペンラインの品質の石はほとんど見られない。その中でもチューブインクルージョンが美しく平行に配列されている石は、シャトヤンシー効果が現われ キャッツアイになる石もあり、人気があるようだ。

特性値は; 屈折率:No=1.603?1.608、Ne=1.610?1.615 複屈折性(?0.008??0.009)比重:3.10 (3.04?3.14) 紫外線検査:長波短波共に変化なし
拡大検査:チューブインクルージョンと液体インクルージョンが多い
ハンディタイプの分光器では487nmと551nmに特有の吸収が現われた

EDXRF(エネルギー分散型蛍光X線分析装置)で成分分析した結果、検査石全ての中にセシウムが12%?26%含まれ、他にルビジウム(Rb)やカリウム(K)も検出された。GIAや全国宝石学協会から、ベリルの特徴であるベリリウム(Be)の他にリチウム(Li)ナトリウム(Na)等の軽元素が含まれているとの発表もあり、今までのピンク・ベリル(モルガナイト)とは大きく違っている事が分かった。産地は、マダガスカルの中央部Ambatofinandrahanaの西方140Km程のMandrosonoroのペグマタイト鉱床である。たちまち世界中の鉱物学者の注目するところとなり、特に成分が珍しいため各国の研究者はその特性に注目した。セシウムの量や物理的特性、成分の違い、さらにモルガナイトとの外観の違いなどから、このピンク・ベリルは新種石として登録するのが一番正しいということになり、その手続きが取られた。

9月中旬にスイスのエドワード・ギュベリン博士よりニュースが舞い込んできた。IMA(International Mineralogical Association)において、このピンク・ベリルは新種石として正式に認められ、名前は“Pezzottaite”ペツォタイトと決定したとの知らせであった。まさに21世紀最初に発見された新種石の誕生である。Pezzottaite(ペツォタイト)という名前は、イタリアのミラノ市にある自然歴史博物館(Museo Civico di Storia Naturale)のDr.Federico Pezzottaの名に因んでつけられたとのことである。

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