日独宝石研究所 2014年 年賀状のご説明

謹んで新年のご祝詞を申し上げます。
旧年中はひとかたならぬ御厚情にあずかり、
誠にありがとうございました。

本年も社員一同、全力で取り組む所存でおりますので、
いっそうのお引き立てのほどお願い申しあげます。

弊社の年賀状でお送りさせて頂きました、
写真についてお問い合わせを頂きましたので、
ご説明をさせていただきたいと思います。

左上からご紹介して参ります。詳細は下記を開いてご覧ください。
それでは改めて本年もどうぞよろしくお願いいたします。

日独宝石研究所 所員一同

FT8243 IIa CVD Syn

近年、さまざまなところで懸念されておりますCVD合成ダイアモンドの
偏光像です。このような特徴的なブラシ模様がしばしば見られます。

Dia-FL

同じくCVD合成ダイアモンドの蛍光像です。CVDは積層して成長するため、
層の構造による縞目が蛍光に見られます。

HPHTsynDia-FL

こちらはHTHP合成ダイアモンドに見られる蛍光像です。
HPHT合成ではセクターゾーニングと呼ばれる立方体面と八面体面の交わる
領域に沿った蛍光が見られます。
いろいろな蛍光が宝石では楽しめますが、
ダイアモンドの蛍光はその成長した歴史を木の年輪のように讃えていて面白いです。
これらはリヒテンシュタインのGGTL Labから提供された写真です。

染めオパール

続いてスモーク処理されたエチオピア産オパールです。
燻製によってブラックになっていますが元は薄いイエローです。
エチオピア産オパールは遊色効果が非常に強く、オパールの美しさを
楽しめますが、同時にハイドロフェーンと呼ばれる水を吸うほどに
多孔質でその中に色素をすわせて染めやすい特徴もあります。

TP1746_V.Syn.Spinel_Red_41

これは非常に珍しい合成石です。ベルヌイ法の合成レッドスピネルのカーブラインです。
レッドスピネルはベルヌイ法での合成が非常に難しく、基本的には出来ません。
どのような工夫があったのか分かりませんが、非常に古いもので実験的に作られたものだそうです。
大阪DGLの木原様に拝見させて頂きました。

KenyanSapphire

いろいろな宝石の価格が高騰する中、新しい鉱山も開発されていますし、
また、古い鉱山が販売価格が上がったことで採算性が取れるようになり、
再開発されたものもあります。これは再開発されたケニアのサファイアです。

彩オパール-size03青富士-size

こちらはオーストラリア産オパールに見られる火山のような遊色効果です。
このオパールは、スピネルの共同研究をして下さっているデザイナーの
中嶋彩乃さんのネックレスの作品(下写真)に使われているものです。
今年は富士山が世界遺産に登録されました。私たちにはオパールの模様が
夕焼けを背にした富士山のように見えました。

彩オパール

Aquamarine

こちらはベトナム産のアクアマリンに見られる2相インクルージョンです。
あわよくばコロンビア産エメラルドのような3相インクルージョンかと、どきどきしました。
ベトナムのアクアマリンは近年採掘が始まったものですが、サンタマリアと
呼ばれるような強い青さが特徴です。

このアクアマリンは、新しい宝石の情報を共有してくれるコレクターの中根賢さんから提供していただきました。

 

PallasitePeridot2

PallasitePeridot

これら二つは隕石のパラサイトの中からカットされたオリビン(ペリドット)です。
上のインクルージョン写真は、周りの鉄質隕石が含まれたものです。
隕石同士が衝突した際に砕けたものが取り込まれたのでしょうか。
(でもその後オリビンは再結晶したのでしょうか。)
下の写真は同じ鉄質隕石が溶けたものがフレーク状に再結晶したものです。
成分の検査で高いFe分とNi分が検出されました。
なぜ同じアルファ隕石にこのようなインクルージョンの違い出るのか、
その遠い宇宙からの旅路にいろいろ夢が膨らみます。

IGCVietnam

最後は2013年国際宝石会議ハノイ、ベトナムで所長が講演したときの写真です。
インペリアルトパーズについての研究を発表しました。
(写真はダイアモンドについて発表された中央宝石研究所の北脇様に撮って頂きました)

 

また、ご質問やもっと詳しい説明をと言うことがございましたら、
何なりとご連絡下さい。それでは今年もどうぞよろしくお願いいたします。
2014年が皆様に良い年となりますように。

日独宝石研究所 所員一同 元旦

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