日独宝石研究所 2019年 年賀状のご説明

謹んで新年のご祝詞を申し上げます。
輝かしい年頭にあたり 皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
昨年中は格別のご用命を賜り厚く御礼申し上げます。
御社のますますのご発展を祈念しますとともに、
本年もなお一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。

平成31年 元旦 日独宝石研究所 所員一同

年賀状に用いました写真のご説明をさせていただきます。

昨年は初めてミャンマーの翡翠オークション、エンポリアムを訪問しました。こちらはもっともリザーブプライスが高かった翡翠で9.3gで500万ユーロ(約19億円)の値がつけられていました。

ミャンマーではピジョンブラッドのルビーを探しましたが、レポートではそのように記述されるのかも知れませんが、展示会で見られたのはモンスーのものばかりでした。非加熱では中央に青い色帯がよく見られます。

宝石学会日本ではカラーチェンジガーネットについて発表を行いました。マダガスカルやタンザニアのものではバナジウムが多く、石が大きくなると青いガーネット(ブルー・カーバンクル)にもなるのが見られます。

 

昨年はグランディディエライトなどのレアストーンが多く見られました。後半はきれいな透明のアフガナイトも多く見られました。

昨年のツーソンではバイカラー・トルマリンのユニークなカットも見られました。真ん中で二色を分けるのではなくあえてテーブル面や後ろのパビリオンに平行に色の違いを持ってくることで見る方向で石の色が大きく変わります。このような色の組み合わせは、イチゴのようでした。

こちらは珍しいものでマンダリン・ガーネットに見られたホーステール・インクルージョンのような繊維状のインクルージョンです。露出した部分は粘土鉱物のディッカイトのようですが、内部は違いそうでした。

また、インドネシアのジャワ島からはブドウ状のカルセドニーが報告されました。こちらはアメシストと同じ色のメカニズムの紫色で、まさにグレープ・カルセドニーです。

昨年はデ・ビアス社のLightbox jewelryの発表により、合成ダイアモンドの市場が活気づきました。コストの安い大量生産できるHPHT合成もどんどん大きくなり、メレーサイズから0.5ctほどまで大きくなっているようです。HPHT合成ダイアの金属フラックスインクルージョンも入り方によってはきれいでした。

HPHT合成ダイアの特徴的な四角形の蛍光像も美しい幾何学模様です。

宝石の処理もいろいろと問題となるところですが、下図はパライバトルマリンのチューブ状のインクルージョンを樹脂で埋めた(含浸した)ものですが、少しホッとポイントで温めるとこのように溶けて出てきました。

また、こちらは中国の合成グリーンクォーツのクラスターです。緑の合成を成長させ、その上にさらに無色のクォーツを成長させてファントムにし、さらに条件を変えて小さな結晶を成長させて天然のような棘棘したクラスターになっています。

 

インクルージョンを見ていると石が成長してきた長い歴史を感じることが出来ます。下はスリランカの薄紫色のスピネル(ムーブカラー)に見られたアパタイトインクルージョンです。

こちらは、マダガスカルのサファイアの交差した成長線です。

パキスタン産ソーダライトのチャネル状インクルージョンです。

ブラジルのアレキサンドライト中の結晶インクルージョンです。

またタンザナイトにはあまり成長線は見られませんが、下図のような成長線も見られました。

これらについては新春に発行するジェム・インフォメーションで詳しくご紹介したいと思いますが、発行が遅くなってしまい、申し訳ございません。

それでは、本年もどうぞよろしくお願い致します。

 

 

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